ネルソン・マンデラ死去

南アフリカ マンデラ元大統領が死去 NHKニュース
南アフリカアパルトヘイト=人種隔離政策の撤廃運動を指導し、ノーベル平和賞を受賞したネルソン・マンデラ元大統領が5日、死去しました。95歳でした。
ズマ大統領は、「われらが愛すべきネルソン・マンデラは旅立ち安らかに眠りについた。自由を求める彼の不断の闘いは世界の尊敬を集めた。いつかはこの日が来ることを分かってはいたが、この大きな喪失感が消えることはない」と述べて悲しみをあらわにしました。
そのうえで、マンデラ元大統領の葬儀を国葬にすると発表しました。
そして、国全体で哀悼の意を表するため、6日から半旗を掲げるよう国民に呼びかけました。
マンデラ氏は、1918年、イギリスの支配下にあった南アフリカに生まれ、大学在学中から、白人政権の下で行われていたアパルトヘイトの撤廃運動に取り組みました。
1962年に逮捕され、国家反逆罪で終身刑を受けましたが、獄中からも黒人解放を訴え続け、「不屈の闘士」として、世界中から尊敬を集めました。
釈放後は、白人政権との対話によって人種隔離政策の法律をすべて撤廃し、1993年、その功績が認められ、ノーベル平和賞を受賞しました。
1994年には、初めてすべての人種が参加した選挙を経て黒人として初の大統領に就任し、異なる人種間の融和と民主化に努めました。

アパルトヘイトとは
アパルトヘイト=人種隔離政策は、かつて南アフリカ政府が推し進めた国家による人種差別で、少数の白人の既得権益を守るため政治や経済など、あらゆる分野で白人以外の人種を差別しました。
特に、オランダ系移民で作る国民党が1948年に政権をとってからアパルトヘイトは本格的に法制化され、白人だけに参政権が認められたのをはじめ、異なる人種どうしで結婚したりバスや公園で隣に座ったりすることも禁止されました。
1959年に定められた法律では、人口の大多数を占める黒人が「ホームランド」と名付けられた狭い地域に閉じ込められ、移動の自由を制限されました。
こうした差別に対する反対運動は次第に激しくなり、1960年にはデモの参加者に警察が発砲して69人が死亡した「シャープビル虐殺事件」が、また、1976年には教育現場の言葉をオランダ系移民の言葉に切り替えることに反対する黒人の学生のデモを警察が武力で鎮圧して100人以上が死亡した「ソウェト蜂起」が起きました。
国際社会でも南アフリカへの批判が高まり、1980年代には欧米諸国が経済制裁を発動してアパルトヘイトをやめるよう圧力を強めると、南アフリカの経済は次第に悪化しました。
1989年、黒人との融和路線を打ち出して政権についた当時のデクラーク大統領は、1991年6月、差別的な法律をすべて廃止しアパルトヘイトは撤廃されました。
日本も、アパルトヘイトに反対する立場から南アフリカに対する投資や一部の製品の輸出入を規制していましたが、1987年には南アフリカとの貿易額が一時、世界で最も多くなり、国際社会から「日本の規制は形ばかりだ」などと批判されました。

マンデラ死去を受け止めた世界の反応がまとめられています。ここにも。すごいですね。日本での報道はどうだったのでしょうか。

ネルソン・マンデラに捧ぐ | Muhammad Ali
マンデラ元大統領死去:各国指導者らの追悼コメント | Reuters
CNN.co.jp : ネルソン・マンデラ氏が残した名言



Nelson Mandela: In Liberty’s Name(ネルソン・マンデラ 自由の名のもとに)を見た。

南アフリカアパルトヘイト政策の廃止を導き、初の黒人大統領に選ばれたネルソン・マンデラの軌跡を振り返るドキュメンタリー。王族の長のもとで育てられ、エリート教育を受けたマンデラは、どのようにして反アパルトヘイト闘争に身を捧げることになったのだろうか。自由を勝ち取るまで、どういった苦難を乗り越えて行ったのか。そして、そのとき南アフリカ社会では何が起き、何が変わっていったのか。番組はノーベル平和賞を受賞したツツ大主教やデクラーク元大統領、さらにはANC(アフリカ民族会議)メンバーなど、マンデラと関わった様々な人たちの証言をあらたに収録。過去の貴重なインタビュー映像も織り交ぜながら、マンデラの功績と南アフリカが自由を求めて闘った時代を振り返る。後編はマンデラが釈放され、1994年の全人種選挙で黒人初の大統領に選ばれ、1999年に政界を退くまでを追う。


1918 マンデラ生まれる
1952 弁護士事務所開業
1994 大統領に就任 

インビクタス / 負けざる者たち [Blu-ray]

インビクタス / 負けざる者たち [Blu-ray]


日本人のためのアフリカ入門 (ちくま新書)

日本人のためのアフリカ入門 (ちくま新書)

新書アフリカ史 (講談社現代新書)

新書アフリカ史 (講談社現代新書)

経済大陸アフリカ (中公新書)

経済大陸アフリカ (中公新書)

アフリカ―資本主義最後のフロンティア― (新潮新書)

アフリカ―資本主義最後のフロンティア― (新潮新書)