テレビ1

(2013年12月)
ETV特集「寺山修司という宇宙 園子温×穂村弘」

寺山修司。没後30年たった今でも、街にはその言葉があふれ、日本各地の劇場でその作品は上演され続けている。衰えるどころか、さらに加熱する人気…寺山の創作活動の根幹にはどんな秘密が隠されていたのか? 寺山作品に影響を受けたという2人のクリエーター…数々の問題作を発表し、世界中で高い評価を受ける映画監督・園子温、斬新な短歌と軽妙洒脱なエッセーで幅広い人気を博す歌人穂村弘が、その謎に迫る!

園子温穂村弘が並ぶのが意外だ。そこから関連して、佐佐木幸綱福島泰樹まで出てくる。寺山修司の没後30年を記念して様々行われたが、最も創造的だと言えるテレビ番組。やはり短歌に絞って突き詰めていったのが成功の要因と言えると思う。穂村は、他人の言葉やイメージを自信の生々しい実感で蘇生させることが、寺山独特のコラージュ技術だったという。佐々木英明と語る園子温

たった一人の長距離ランナー過ぎしのみ 雨の土曜日何事もなし

霧の中酔いたる父が頬を突く ひとさし指の怪人として

亡き母の真っ赤な櫛を埋めにゆく 恐山には風吹くばかり

(2013年11月)
プロフェッショナル仕事の流儀 佐藤オオキ
建築学科出身のデザイナー。忙しいことが伝わってくる。考え続ける情熱が大切だという。カッペリーニというイタリアのデザイナーのところに通い続けた。


スタジオパークからこんにちは 毒蝮三太夫
上岡龍太郎 話芸一代』の後に見たからいちいちグッと来る。

成長か、死か〜ユニクロ 40億人市場への賭け〜

今年、初めて売上高1兆円を超えたファーストリテイリング。衣料品チェーン「ユニクロ」を展開し、年々売り上げを伸ばしている。その原動力となっているのが海外での大量出店。年間150店舗という驚異的なペースで出店を続けている。ユニクロがグローバル展開を急ぐ背景には、世界で激化するファストファッション競争がある。日本ではトップのユニクロも、ZARA(スペイン)やH&M(スウェーデン)といったライバルに及ばず現在世界4位。柳井社長は、同じことをしても追いつけないと新たな戦略に打って出た。その一つが「ベースオブピラミッド(BOP)」と呼ばれる世界最貧国市場への進出。今年7月、ユニクロは競合他社に先駆けてバングラデシュに店をオープンさせ、Tシャツ一枚230円という破格の安さで勝負に出た。最貧国の一つバングラデシュでビジネスを成功させることができれば、アフリカなど世界中どこでも商売ができると語る柳井社長、「2020年に世界4,000店舗、売上高5兆円」という目標を掲げ、世界ナンバーワンを目指す。番組では、ユニクロバングラデシュ出店戦略に密着。新たなマーケットを切り開く最前線を追い、グローバル市場での苛烈な競争にしのぎを削る日本企業の姿をドキュメントする。

昭和偉人伝 「寺山修司

探偵!ナイトスクープ 話し言葉の文字数が瞬時に分かる男!
ちょっと凄かった。母の手紙にもっていって、涙ながらに数える画を撮ることのできる企画の上手さ。


ぶらぶら美術館 「レンブラントの部屋、再び」〜森村泰昌が演じて読み解く、17世紀巨匠の芸術と生涯〜 
観に行かなくていいや、と思っていたので有難かった。森村泰昌は「なにものかへのレクイエム」だけを東京都写真美術館で観ている。ソフィ・カル展も結局行かなかったし、原美術館には行く機会がてんでない。上岡龍太郎は伝統を必要とした。森村の作品もトリッキーなだけに伝統が必要なのか。かえすがえすも、岩手県立美術館で開催予定だった「人間風景 −萬鐵五郎、松本竣介、舟越保武とともに−」が観てみたかった。くやしい。

「僕はまだまだ死にません〜はだしのゲンが伝えるもの」

原爆をテーマにした漫画「はだしのゲン」。作者・中沢啓治さんは、晩年肺ガンと闘っていた。去年9月、広島市の小学校で行った最後の講演会。酸素吸入器をつけ、車椅子で登場した中沢さんが、対照的な大声で子供たちに話しかけたことは。また、幻となった「はだしのゲン第2部」の続きが描かれていたことが分かり、今年2月、その原画が見つかった。中沢さんが2部でテーマにしたもの、それは被爆者に対する差別だった。

広島で行われた『はだしのゲン』作者・中沢啓治、最後の講演会。講演会では、目頭を抑えて泣く子供も。主観グイグイのドキュメンタリーではなく、子供への講演と原稿の委託を中心に構成。東松照明岡本太郎の妻と同じく、中沢啓治の妻も、彼を支えたに相応しい人柄だ。理想的な夫婦をみた気がした。

80年代の逆襲「宮沢章夫の戦後ニッポンカルチャー論」
宮沢章夫が東大や早稲田でやってきたサブカルチャー論をテレビ用に圧縮した講義。「テクノ」と「笑い」と「おたく」で80年代を斬ってみせた。YMO中森明夫など固有名詞がわんさか。細野晴臣菊地成孔も出演。原宿界隈の隆盛の中、糸井重里が事務所を構えていたセントラルアパートの写真は初めて見た。「増殖」の音声や、いとうせいこうのコメディも。

プロフェッショナル仕事流儀「人生を込めて、そばを打つ〜そば打ち職人・高橋邦弘」
やはり料理人は夢破れてなる人が多い職業なのか。弟子想いで、優しいお師匠さん。名声を得てからも全国行脚をやめず、値段も変えず、誰に対しても平等に接す。面白いのは、移住。東京で店を構えていたが、「売れて」、転居を続け、広島に辿り着く。これも、市民講座で呼んでもらったことがきっかけだったといい、70歳でリタイア後は、九州に住む予定というのだ。転居とは、こういう形態でもあるのだな。

タモリ倶楽部 「実録 ホームセンターの資材のみで家を建てる男」
面白かった。岡啓輔さんが三田にセルフビルドしている自邸。調べたところ「蟻鱒鳶ル(アリマストンビル)」と名付けられているらしい。ほぼ日では継続的にレポートが成されていた!(これ)新駅建設で立ち退きを求められているのだとか。切ないね。先日の「孤高の天才 自分撮り山岳ガイド映画監督 吉野和彦」といい、好特集が続く。

情熱大陸真鍋大度、川田十夢、スプツニ子!)
メディアアーティストの特集が続く。真鍋大度と川田十夢は同一人物なのか問うYahoo知恵袋が話題になっていたが、頷ける。やっていることが似ているのだ。川田は企業へのプレゼンが、真鍋は都現代美術館に展示中の金融をテーマにした作品が、実際に面白いと思えた。「うさぎスマッシュ」は実際に行って確かめたい。

日曜美術館 本阿弥光悦 日本最強のマルチアーティスト


ジョーズ(1975、米、スティーブン・スピルバーグ

ガタカ(1997、米、アンドリュー・ニコル
よく知らなかったがSF名作選で多くの人が上位に挙げていた作品。面白かった。
後半の途中までは、普通に面白い傑作だった。けれど、警察官が弟だと分かって海でどちらが遠くまで泳げるか競争するに至り、そこからよく分からない深みのある作品となっていったのだ。
前半では、主人公が「完璧な人間」として生まれてこなかったばっかりに、親に期待されず弟に身体的に劣り、夢を諦めざるをえない様が描写される。
後半になり、彼は生まれ変わった。半身不随の元水泳選手(完璧な人間)に成りきることで、掃除夫から宇宙飛行士候補に成り上がった。それは彼自身の能力によってではなかった。「完璧な人間」として生まれてこなければ、到達できない地点が、この世界には存在していたからだった。
先程、後半が進むにつれてよくわからなくなったと書いた。ガタカ内部で殺人が起きたが、本当に所長が犯人だったのか。唐突に思える展開だった。この展開になった時点で、監督は緻密な描写よりも、メッセージ性にこそ賭けているのではないかと合点した。担当医師は、気づいていた。息子は宇宙飛行士になりたいけれど、「完璧な人間」ではない。医師なのだから、息子を「完璧な人間」にすることを選べたはずだ。しかし、そうはせず、又、主人公に夢を託してもいる。ユア・サーマン演じる女性も、「完璧な人間」ではなく、主人公に髪の毛を渡すシーンがあった。持病は、主人公と同じ心臓病だ。そして、なんといっても対になる存在は、同居人であり、演じるところの元水泳選手だろう。彼は、死して尚主人公が化け続けられるように血液・尿・毛髪を残し、自死した。本来、金が目的で、分身になることを許したはずが、目的は途中で変化した。彼も又主人公に、夢を託したのだ。それは、飲酒の多さからも明白だった。後半が進行する以前から、元スイマーの精神状態は、特別だった。それもそうだろう。彼には夢があって分身を許していたわけではなかった。金が目的だったのだから。社会では、偽物の自分が認知されている。きっと、仕事をせず家で有り余る時間に苦慮していたはずだ。そんな彼は最後に近づき、じょじょに普通の人間になる。落ち着きを獲得し、警察官が訪ねてきた際は、分身を演じてみせた。そして亡くなった。
早急にまとめ上げるなら、夢を諦めていた者たち(ユア・サーマン、元スイマー、医師の息子)に、それでもやれるのだよと伝えた映画だった。
そして、人間は能力がすべてではなく、そこにかかる意志のちからによって、能力とは関係のない人生を遂行できるのだよと。
しかし、そのメッセージは、強く真っ直ぐに響いてきたわけではない。屈折している。この屈折があったからこそ、この映画は特別な余韻を残している。(85)

「TIME/タイム」原題:IN TIME
2011、米、アンドリュー・ニコル
ガタカ』の監督、ニコルの近作。『エリジウム』の整合性が取れたヴァージョンとも言うことができる。お金の代わりに時間が幅を利かす社会。主人公ウィル(ジャスティン・ティンバーレイク)はスラム出身(でも家庭は中流ぽかったが)で、母親のレイチェルを「時間不足」で亡くしている。一方、ヒロインのシルヴィア(アマンダ・サイフリッド、可愛い)は、富裕層の子息。父親のフィリップ(ヴィンセント・カーシーザー)は、時間を貯めて高利子の銀行業を営んでいる。ストーリーでは、主人公がヒロインを人質にして時間を盗み集め、貧困層に還元しようとする。『ガタカ』と同じくSFの想像力は、鑑賞者に擬似的な社会の構想を問うもので、考えさせられること多し。今の各人の人生は、だいたい70年程の寿命を如何に過ごすかに焦点は絞られている。「今日が人生最後の日だと思って過ごせ」という我々の「寿命決定」社会で信奉されるジョブズの名言も、『タイム』の世界では至ってマジだ。寿命を加算する社会であればこそ実現する様々を妄想すると、楽しくなる。気になったのは、監督がきっと真剣にこんな理想社会の実現を心から願っているであろうことだ。SF的想像力などオブラートに包まず、現実変革を願っているだろう。そう、この映画は革命待望論なのだ。そうすると、やはり難点も湧いてくる。随所で、人口の計算の必要性が論議されるように、人口は一定の歯止めをかけないと、問題が出てくる。主人公とヒロインのバディは、今後も銀行から時間を強奪し、それを貧困層に分け与えて社会の平等を目指すだろう。しかしそれは本当に平等と言えるのだろうか?ヒロインの父フィリップ(頭取)は、悪事を働いたことで、時間を蓄えたわけでもないだろう。また、時間に富む者は、つまらない人生を送っているという考え方は、ステレオタイプに過ぎるだろう。構想は十分わくわくさせてくれ、個別に余韻を残す不思議な作品だ。手放しに面白いと言えない作品は、だからこそ興味深い。(82)


lord of war


SELF AND OTHERS
2001、日、佐藤真

牛腸茂雄亡き後製作されたドキュメンタリー。佐藤真の作に接すのは初めてだったが、空白をたっぷり取る作風に所々牛腸の発言の抜粋が入る構成。(70)

うる星やつら 劇場版2 「ビューティフル・ドリーマー

セデック・バレ 第一部 太陽旗(2011、台湾、ウェイ・ダーション

セデック・バレ 第二部 虹の橋(2011、台湾、ウェイ・ダーション

ゼロ・ダーク・サーティ(キャサリン・ビグロー)

カサブランカ(1942、マイケル・カーティス

フルメタル・ジャケット(1987、スタンリー・キューブリック
飛行機嫌いのキューブリックがイギリスで撮った作品。

アイズ・ワイド・シャット(1999、スタンリー・キューブリック
ロンドンの道をニューヨークに見せた。主演は、トム・クルーズ

シャイニング(1980、スタンリー・キューブリック

フレンチ・コネクション(1971、ウィリアム・フリードキン

ストーカー(タルコフスキー

エクソシストウィリアム・フリードキン

フィツカラルド(1982、ヴェルナー・ヘルツォーク
クラウス・キンスキー主演。

大アマゾンの半魚人

天国の門(1980、マイケル・チミノ

ディア・ハンターマイケル・チミノ

舟を編む(2013、日、石井裕也

横道世之介

地獄の黙示録フランシス・コッポラ

ハート・オブ・ダークネス