フィオナ・タン エリプシス

行った展覧会は記録しておこうということで少し前になるが、フィオナ・タンの「エリプシス」。
金沢21世紀美術館には初めて行ったのだけれど建築はやはり興味深く、円形の建物の周りは芝生になっていて、訪れた昼のタイミングでは子供たちがダンスの練習をしていた。パブリックな役割を担う地域の建築としては素晴らしいのだろうけど、美術館としてはどうなのかという点について考えてみたい。行った時には四つの展示が同時並列にやっていて(「アンリアレイジ:A COLOR UN COLOR」「島袋道浩 能登」「イザベル&アルフレド・アキリザン:住むプロジェクト」)、「エリプシス」がその中ではメインの展示だった。ほかの三つの展示は一部屋のみで、「エリプシス」は複数の展示室を使用していた。まず、映像の作品は、展示としてなかなか難しいということがある。鑑賞者にとって興味深ければまだしも、どこを切っても金太郎飴のような荘厳な作品であったりすると、自分の場合は途端にどう観ればよいのか分からなくなる。結論から言えば、あまりおもしろくなかった。詩的で、私的な作品群は一定の値を満たさないと、部外者にとっては辛い。展覧会のことは一旦脇に置いて考えてみたいのだが、メインの展覧会の会場として金沢21世紀美術館はどのように使われることが理想なのかが見えてきづらかった。小ギャラリーの束のようなもので、どうしたって一室ごとに分離されてしまうからだ。これまでに一番成功したと言われるこの会場での展示はなんだったのだろう。その使われ方に興味がある。島袋については事前にものすごく期待していてああこういうものかと思ったのだけど、中原浩大の個展を見た今ではそれとの比較にどうしてもなってしまう。

同日に訪れた金沢の町並み、区域にまとまった文化施設群は都市計画として面白く、是非また訪れたいと思った。